農業に転職するには
農業と言うと、どうしても「農家に生まれた子供が継承するもの」というイメージがあります。
こうしたイメージはかなりの部分で実態に沿っていますが、そうでない部分もあります。
先祖代々の農家ではなく、他の職業から転職して農業を始めるというケースもあるのです。
では、そのようなケースでは一体どのようにして転職を行うのでしょうか?
農業への3つの転職方法
現在、既に何らかの職業に就いている方が農業へ転職する場合には、次に挙げる3つの方法を選ぶことになります。
これ以外の方法も無いわけではありませんが、十中八九はこの方法になります。
個人事業主として開業する
おそらく、農業への転職と聞いて真っ先に思い浮かぶのがこの方法だと思います。
この方法では、まず自らで土地を確保(買うまたは借りる)して、個人事業主として独立開業します。
個人事業主として農業を始めることのメリットは、何と言っても自分のやりたいように運営できるという点にあります。
農地を確保してしまえば、後はそこで何をどれだけ育てようが、それは事業主の思い通りです。
しかしその反面、この方法には農地の取得費用や設備費用など、開業時に多額の自己資金が必要になるというデメリットもあります。
つまり、こうした壁を超えなければ個人事業主の農家には転職できないのです。
農業法人に就職する
ご存じでない方も多いのですが、実は農業を行っているのは農家だけではありません。
我が国には農業法人と言って、法人でありながら農業を行っている会社が存在するのです。
会社ですから、そこで働くということになれば、それは当然サラリーマンということになります。
この方法のメリットはやはり、一定の収入が保証されていること、そして社会保険や年金が完備されているということです。
仕事の内容は農業ですが、雇用と勤務の形態は一般のサラリーマンと同じなのです。
ですが、サラリーマンとして農業に関わるというのはメリットでもありますが、同時にデメリットでもあります。
何故なら、運営の方針を自ら決めることができないからです。
農業法人で農業の仕事をしようとすると、ただ会社の方針に従うということになりかねないわけです。
仕事を辞めずに週末農家を始める
これは厳密に言えば転職ではありませんが、現在ではこの方法で農業を始める方が増えてきています。
この方法では、現時点で何らかの職業についている方がその仕事を続けながら、週末だけ農業に従事するという形になります。
週末農家のメリットは、安定的な収入が確保されているというところにあります。
専業の農家であれば収入は必ず不安定になりますが、週末農家であれば本業が別にあるため、収入が不安定になるということはあります。
一方デメリットとしては、農業に従事する時間が短いといった点が挙げられます。
また、平日に本業の仕事をした上で週末に農業に従事するということになるので、体力的にもかなりの負担になってしまいます。
個人事業主に必要な開業資金
週末農家や農業法人であれば、転職するにあたって必要な資金は微々たるものでしかありません。
しかし、個人事業主として農家を始める場合には、非常に大きな開業資金が必要になります。
一から始めるということを想定すると、農業用の機械や設備の準備、種苗や肥料などの購入だけでも600万円前後の費用が必要になります。
しかも、土地を所有していない場合には、これに加えて農地の取得費用が別途必要になります。
もちろん、農地は購入するだけでなく借りることもできますが、いずれにしてもかなりの額が必要になります。
ですから、個人事業主として農業を始める場合には、十分な自己資金の準備が欠かせません。
また自己資金の他に、融資や補助金などを上手く活用することも重要になってきます。