農業の人手不足解消には、若者の就農者や新規参加者を増やさなければいけません。

農業の人手不足の現状

日本には、人手不足に陥っている業界がいくつかあります。
代表的なのは介護や土木・建築などで、これらの業界の人手不足はニュースなどでも度々取り上げられています。

 

そして、ここ取り上げる農業も人手不足に陥っている業界の一つです。
農業については、ここ数年はマイナスの部分しか取り上げれらませんが、人手不足もそんなマイナスの要素の一つなのです。

 

 

人手不足の現状

ご存じでない方も多いと思いますが、日本は実は農業大国と言われています。
全人口に占める農家の数や収穫量といった要素を総合的に勘案すると、世界でも5本の指に入る農業先進国であるとされているのです。

 

しかしその現状については、決して安泰とは言えないものがあります。
日本の農業が現状において抱える最も大きな問題は人手不足です。
日本の農業人口は年々減少し、今では担い手の減少によって人手不足が叫ばれる状態にまでなってしまっているのです。

具体的に言うと、1960年に1454万人居た農家は、2009年の時点で289万人にまで減ってしまいました。

つまり、日本の農家の数は過去約60年間の間に1100万人以上も減少してしまったのです。
尚、2009年以降の各種データを見てみても農業人口が大きく回復しているということはありませんので、人手不足は現在も進行中であると言うことができます。

 

 

進む高齢化

高齢化が進む農家さん

 

日本の社会は、至る所で高齢化が進んでおり、これは農業においても全く同じ状況にあります。
日本の農業は70年代から既に高齢化が叫ばれてきました。
つまり、当時から現在と同じ問題が存在していたわけですが、その後有効な対策が取られることはありませんでした。
そしてその結果、現在の日本の農家は農業に従事している人間の6割以上が65歳以上という状態になってしまっています。
しかも、平均年齢で言えば68歳を超えています。
農業が自然を相手にした過酷な労働であることを考えれば、これがどれだけ異常な状態であるかが分かるはずです。

 

 

若者が集まらない

農業の人手不足を解消するためには、若者の就農者を増やさなければなりません。
農家人口における若者(35歳未満)の割合はわずか5%にしか過ぎませんから、この部分を増やさなければ全体の人手不足が解消されることはありません。
この問題は行政においても、また民間の様々な団体においても十分に認識されており、これまでに何度も対策が打ち出されてきています。

 

しかし、現状は既に述べた通りで、高齢化が進む一方で若者が集まらないという状況が今尚続いています。

 

では何故、若者が就農しないのかと言えば、これには大きく分けて二つの理由があると考えられます。

 

一つは、後継者がいないということです。

日本に限らず多くの国では、農業というのは先祖代々で土地と事業を引き継いでいくものです。
ところが、日本では農家に生まれた若者が次々に都会に流失してしまって、後継者がいなくなるという状況になってしまっているのです。

 

そして二つ目の理由は、新規参加者が少ないということです。

現代の日本では農業に対して、「キツイ」「汚い」「休めない」「稼げない」といったマイナスのイメージが氾濫しており、新しく農業を始めようという人が非常に少ないという現状があります。

 

また、農地の取得や器具・機材の調達のために大きな資金が必要になるというのも、新規参加者が少ない原因になっています。
とは言え、農家に生まれた人間が農業をしない時代ですから、新規参加者が少ないのは当然と言えば当然かもしれません。